2018年に中国・広州で行われた《Sun of the City》では、53美術館の敷地内にある、かつて鉄道会社の建物だった東向きの壁と、3階のベランダに放置されていた鉢置きを用いて、約150 × 150cmの日時計を制作した。
2020年、この建物は美術館の移転に伴い解体された。解体されることを直前になって知ったが、現地で保存や再制作に関わる手段はなく、日時計は瓦礫とともに失われた。作品《日時計の面影》は、この広州の日時計を複製する形で制作されている。建物の瓦礫は粉砕され、資材として再利用されることが多いが、広州の建物もまた再生資材となり、一部は日本に渡り、どこかで新しい建物の一部となっているかもしれない。そのような想像をもとに、東京の工事現場から瓦礫を集め、その瓦礫で仮想の壁をつくり、2018年に広州で制作した日時計と同じ文字盤を実寸で描いた。《日時計の面影》は、実物でもレプリカでもない、別の形でひとつの作品を再現した新たな作品である。
製作協力:木村充伯
関連作品
Sun of the City (Guangzhou)